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令和元年(2019年)5月31日更新

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持てる技術を後継者へ
木版画彫師 朝香元晴(あさかもとはる)さん(平成23年度受賞)

江戸時代に開花した浮世絵木版画は、当時の風俗や名所等を描いた「絵師(えし)」、版木(はんぎ)を彫る「彫師(ほりし)」、その版木に色をのせて摺(す)る「摺師(すりし)」の三者による丁寧な手仕事によって完成する。彫師として51年のキャリアを持つ朝香元晴さんは、浮世絵木版画の復刻に加え、国宝である雪舟の「秋冬(しゅうとう)山水図」や竹久夢二の美人画など、多くの名画の復刻に携わる。
彫師の仕事は、「原画やオリジナルの木版画を見て、色を分ける。つまり、何枚の版木が必要になるかを見極めるところから始まる」と言う。浮世絵の場合は5枚以内。版画全体の輪郭線となる「墨(すみ)版」と、作品に色彩を加える「色(いろ)版」。十数種類の刃物を巧みに使い、それぞれの版を彫り上げていく。
朝香さんは、これまで葛飾北斎、喜多川歌麿、歌川広重など多くの作品を手がけてきた。中でも、腕の見せ所は、髪の生え際を繊細な線で表現する「毛割(けわり)」という技法。「私は1ミリメートルに3本から4本の線を彫りますが、名人と呼ばれた師匠についたおかげだと感謝しています」。
国宝絵画の復刻はさらに難易度が上がり、色分けをできる職人は今では数えるほどしかいない。「色分解に3カ月、完成まで半年かかります。色数にもよりますが、版は80枚に及ぶことも」と話す。
新宿区に工房を開き、木版画の普及活動も行っている。「自分の使命は、全ての技術を後進に託すこと」と熱く語る朝香さんは、この場所から、弟子が自分を追い越し羽ばたいていく、そんな光景を思い描いている。

本号をもって「東京マイスター」の連載を終了します。

■東京マイスターWEBサイト

朝香氏の写真
寸分違わず復刻するよう心掛けている。「どちらが本物?」と言ってもらうと職人冥利に尽きる

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