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平成28年(2016年)6月1日更新

WEB広報東京都[平成28年6月/東京マイスター]

江戸から現代へ 技術を受け継ぐ 一級表具技能士 石井弘芳(いしいひろよし)さん(平成17年受賞)

井さんの営む石井三太夫表具店は、初代が慶安5年(1652年)に浅草本願寺の御用経師(きょうじ)として、京都から江戸へ移り住み、石井さんで15代目となる老舗だ。
師は現在、表具師と呼ばれ、裂地(きれじ)(表具を施すために使う布)や紙を、糊を用いて貼り合わせ、掛軸・巻物・額・屏風(びょうぶ)・襖(ふすま)などを作り上げる職人のこと。
井さんは、寺院の経典や仏画の仕事を中心に、書や美術品の修復も手がけているが、江戸時代から300年を超えるつきあいのお得意様でも、代替わりすれば好みも変わるという。お客様の好みを推察し、修復した掛け軸等の仕上がりが、お客様の好みと合ったときが、仕事をしてきてよかったと感じる瞬間だ。
業訓練校の校長も務める石井さん、これから表具師を目指す人へ、「自分の人脈を持ちなさい」と教えている。後継者として家を継ぐにしても、古くからのお客様がそのまま自分のお客様になるとは限らない。厳しい世界を生き抜くために、人脈は宝である。
さらに、「次の時代に技術をつなげて欲しい」とも。石井さんも先代から伝えられた言葉だ。技術を受け継ぎ、次代に継承する、その繰り返しで多くの文化が成り立っている。

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「いろいろな経験は人生の履歴に残る。いつか必ず役に立つときがくる」と石井さん。

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