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都政レポート  2019年7月8日  戦略政策情報推進本部

産業×ドローンセミナー

 近年利用が増えているドローンは、撮影のみならず、インフラの点検、測量、災害対応、物流サービスなどの様々なシーンで、社会的課題の解決手段となることが期待されています。
7月2日、ドローンの現状と課題、活用方法や技術等の最新情報を紹介し、産業用ドローンの利活用の促進に役立てるため、都庁で「産業×ドローンセミナー」が開催されました。講師はドローンに関係する行政、産業、金融等幅広い分野から招かれ、参加者を一般募集し、各種産業分野においてドローンの活用を検討する人などが参加しました。

開会にあたり都戦略政策情報推進本部の米津特区推進担当部長は、「ドローンなどの最先端技術を、産業にビジネスに活かしていけるよう、東京都としても環境を整えて取り組んでいく。東京というフィールドを使って稼いで貰えるように、応援していきたい。皆さんの熱い気持ちに応えたい」と述べました。

講演した国土交通省の徳永無人航空機企画調整官は、航空法とドローンの飛行ルールの現状について、「地上の人と物の両方の安全を守るため、夜間、人が集まる場所の上空、危険物輸送、物を投下させるなどは原則認められない。渋谷スクランブル交差点で飛ばして注意を受けた外国人が、飛行禁止区域を知らなかったとのことなので、多言語での広報を行うようにしたい。ドローンの利活用に伴い、平成27年に施行された時点では、月1,000件程度の申請だったのが、昨年3,000件、本年は4,000件と急速に増加している。現在は、『レベル1 目視内での操縦飛行』『レベル2 目視内での自動・自律飛行』『レベル3 無人地帯での目視外飛行』の段階にあり、レベル3の実証実験が行われている。今後、物流、インフラ検査、災害対応として、目視外飛行の技術が進めば、飛躍的にサービス利用は増えるだろう。また、『レベル4 有人地帯(第三者上空)での目視外飛行』について、有識者の意見を聴取し検討していく段階を迎えている」と話しました。 

経済産業省ロボット政策室荒幡国際調整係長は、「現状、ドローンの性能は、『空飛ぶスマホ』のようなレベルでまだ制御が十分とは言えない。より長時間で、風の強いところを飛べること、壊れないこと、自動運行管理が出来ること、衝突回避できることなど、『空飛ぶロボット』の性能が求められる。今後は『空の産業革命』を目指して、目視外飛行として物流、山間部の電線の点検、遠隔地への物流などが出来るよう、技術開発中心に、官民一体となって取り組む。ドローンが自動自律で飛び交うには、優れたUTMS(運行管理の自動システム)の開発が必要である」と述べました。 

講演 「無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組」

講演のようす

 次に、東京都の戦略政策情報推進本部の前林課長が、「都は、ドローン特区の活用として、電波法の特例により実証実験を行った。多摩地域で災害が発生していると想定して、空撮や3D計測データのリアルタイム伝送を高い周波数で行うなどした。インフラ点検分野におけるドローン利活用については、人手不足へのチャレンジについて日本インシークと協働した。制度面でクリアできるよう都として取り組んでいく」と述べました。

続いて日本インシークの木下調査診断部長が、昨年度都の依頼で実施した橋梁点検の結果として、「ドローンによる検査と人による検査のデータを比較し、打音点検では同様の結果が得られた。赤外線サーモグラフィー画像での温度差の測定は可能であったが、損傷やさびなどを発見できなかった。橋梁は部材が多く複雑であり、ドローンが底板付近まで進入できず、十分な結果が得られなかった」と報告しました。また、今後の可能性として、「ドローン自体は、撮影はとても得意。ドローンができない箇所は人の目で確認するようにすれば、省力化でき、コスト減につながる。また、ドローンで撮影した複数枚の写真による三次元の形を得る技術が精度向上すれば、うき、かぶり、鉄筋露出、剥離の発見にも対応できる。今後カメラが高性能化すれば、ドローンの技術革新、自動化、雨等の防水ができて、コスト安につながるだろう」と指摘したうえで、課題として、「(性能を追求して)大型化するならば、狭い箇所に入っていくことができず思うように測定できないことにもつながる。打音検査については、コンクリート片が落ちてドローンが破損する可能性なども考えられる」と話しました。 
  

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