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平成30年(2018年)9月30日更新

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生活の中に溶け込む作品を
指物職 渡邊彰(わたなべあきら)さん(平成28年度受賞)

トントン、トントン。ノミを打つ小気味よい音が、渡邊彰さんの天井の高い工房に広がる。釘を使わず、精巧なパズルのように木材を組み合わせて作る木工の調度品、指物(さしもの)。分解すると手の平サイズになる正座椅子から、高さ1メートル以上の飾り棚まで、大きさはさまざま。外からは見えないところほど高い技術を施し、伝統の技で板と板を継いでいる。
「江戸指物の代表的な技法と言われる、留め型隠し蟻組継ぎ(とめがたかくしありくみつぎ)はとても高度な仕事。蟻とは台形のことで、台形に彫り込んだホゾとホゾ穴を組み合わせると、継ぎ目が隠れ、外からは見えなくなる仕組みです」。
江戸時代に開発された、約50種にも及ぶこれらの技法に精通する渡邊さんは、「木は生きている。湿温度によって膨らんだり縮んだりもするから、木の動きを考えながらホゾを彫っていく。そこに難しさがある」と話す。
正面はもちろん、横も後ろも、どこから見ても品良く、すっきりしているのが江戸指物の特徴。使われる木材は、桑、タモ、ケヤキなどだが、中でも最高とされるのは、伊豆七島の一部でしか採れない島桑だという。「見る角度によって木肌が黄金色に輝く島桑は、年月を経るにつれ深みを増していく。どの素材も、最も美しい木目を探し当て、それが正面に来るようにデザインするのも職人の仕事です」。
祖父から継承した伝統技術に柔軟な発想を取り入れ、新しい商品も生み出している。また、ものづくり体験に訪れる子供たちには、「ノミやカンナなどの道具についても伝えていきたい」との信念を持ち、使い方を教えている。
渡邊さんには、「生活の中に溶け込むヒット製品を作る」という一つの目標がある。それを実現するため、これからも努力は続いていく。

■東京マイスターWEBサイト http://www.meister-award.metro.tokyo.jp/

渡邊氏の写真
「長い間、愛用してもらえるよう考えながら作っています」。

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